身近な相続・遺言相談室 第3回「相続手続きの優先順位」
今回のテーマの結論を先に申し上げると、相続手続きの最優先は遺言です。
金融機関の払い戻し手続きでも、まず始めに問われるのは遺言書の有無です。
相続は、ある人の財産をその人が亡くなった後に相続人がどのように承継するのか、ということです。しかし、まずは財産の所有者が自分の死後、財産を誰にどれだけ分け与えたいかとか、福祉などのために使ってもらいたい、などの意思があるのであれば、その意思が最も尊重されるべきである、ということで遺言書が相続手続き上、最優先されるのです。
次に遺言書が無い場合、まずは代表相続人が戸籍等で法定相続人を完全に確定させることが第一です。そして法定相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をし、全員が合意できればどのように決定してもかまいませんが、一人でも異論があれば手続きはできません。
また法定相続人の中で連絡がつかない方や生死不明者がいる場合も手続きは進みません。
さて最後に法定相続人は全員そろったものの、話し合いがどうしてもまとまらない場合は、有識者や士業などの専門家に相談して間に入ってもらうか、あるいは家庭裁判所に調停を申し立てるなどの対応をしなければなりません。
このように相続手続きの優先順位はまず遺言、つまり財産の所有者の意思が第一。
次に法定相続人全員による話し合い。最後に家裁の調停、訴訟ということになります。
次回はこの相続手続きで最優先される「遺言」について述べます。
身近な相続・遺言相談室 代表相続法務指導員 川島幸雄